最新ゼンソク知識

正月、長野に出かけて冷気に当たったら、てきめんに軽くゼンソクが出た。これはもう、毎度のことである。それで、いつも持ち歩いているインタール・エアゾールAを吸入したのだが、なんか効きが悪い気がしたので、よくよく容器を見つめたら...使用期限2002.5とある。つまり、そうと気づかずに3年ほども期限切れの薬を使っていたのである。果たしてそのせいかどうか分からないけれども、こういう薬は実際の効能も大事だが、本人が自信を持ってこれさえあれば大丈夫と思えることが大切なのである。しかし、これでは3年前に期限切れになった定期を使っているようなものとでも言おうか。すっかり自信を失った俺は、近いうちに医者で新しい薬を処方してもらおうと思った。

それから2週間。今朝、寝具のカバーを洗濯するためにはずしていたら、ふたたび軽くゼンソクが出た。ほこりにも弱いのだ。しかし、あの薬は使えない。このところ仕事も一息ついている。これは早いところ医者に行けということだろうと思って、近所のかかりつけに相談することにした。古い薬も持っていって見せた。そこでまず薬の診察だ。

なるほど、この薬ですか。実は、この数年でゼンソク医療はずいぶん進んだのです。ぜんそくは気道の炎症であり、炎症治療としてステロイド剤の局所使用が効果的であるという考え方に変わってきました。それはつまり緊急避難的に薬を用いるのではなく、日常的に炎症を抑える治療をおこなうというものです。

あ、それ、数年前から知ってます、と言いたかったけど言わなかった。まさに、そういう話が出始めた頃に診察を受けていたので、かろうじてそれは知っていたのである。そして、このころに処方された薬をまだ使っていたというわけである。

医者は続けた。最近、こういう薬があります、ごぞんじですか。と出されたのが、古典的なUFOという風情の「フルタイドディスカス」という吸入剤だった。初めて見る代物だ。それだけで感動している俺だった。

昔、巻紙鉄砲というのがありましたよね。ぽつぽつと火薬をサンドイッチしてあって、鉄砲を打つとパンて音がした、あれみたいな巻紙で火薬の代わりに薬が入っているんです。わかります?

うん、わかるわかる、とスッカリ嬉しくなっている俺だった。近頃はこういうの使うんだあ。もうニコニコである。

これをですね、毎日2回、続けてください。それからですね、このメーターでピークフローを測ってもらいます。試しにやってみましょうか。はい、吹き矢をふくように思い切って息を吐く。500L/MINですね。(これは1分間に500リットルの息を吐き出すということ。ほんとかよ?)これを毎日、最低2回は測って、日記みたいに記録しておいてください。それを見て、今後の薬の服用量とかを検討しますから。

このピークフローメーターって高いんだよなあ、前の医者ではあまりに高くて買うのをやめたんだったよなあ、なんてことを思い出していたら、医者が言った。これは患者さんに貸与する、という決まりになっていまして。月に250円だったと思いますが。

え?250円?わが耳を疑うような数字である。もちろんオッケーですよ先生。でもね、よーく考えると、この先いつまで使い続けることになるのか分からないから、結局、買った方が安上がりなんてこともあるかもしれないが。そして、これが肝心な部分だけど、こうして終生この医者と毎月1回つきあい続けることになるのである。ま、楽しい医者だから、まったく問題ないけれど。
一応、緊急避難的な薬、気管支拡張剤も処方してもらった。毎日の安心も大事だが、いざというときの安心も大事なのだ。これはいつも持ち歩いている、マグライト、電池、携帯電話用のACバッテリーコード、100円ライターなどの緊急用ツールと一緒にしておく。10年前からの習慣である。さあ、ヘビースモーカーたちとの打ち合わせにも、これでまた安心して、出かけられるぞ。