文珍独演会の毒
昨夜、日本青年館での「文珍独演会」を家内と見に行く。落語は若い頃、友人とサンシャイン劇場で「サンシャイン寄席」を見て以来。桂文珍その人については、これも若い頃、日比谷野外音楽堂で「サウストウサウス」のライブを見たとき、おそらく手弁当だったであろう司会者が、戦闘服姿の文珍さんだった。当時から笑いに毒があった。
昨夜も期待通りだった。聴衆は中高年が多かった。そこへ毒まみれの小話を矢継ぎ早に、機関銃のように、撃ち込んでいく。私の隣には、まだ小学校高学年か中学生くらいの男の子が座っていたが、ほとんど最初から退屈しきった様子だった。当然だ。大人の笑いだ。テレビの子供だましの笑いとは違う。
中入りのあと、その子は戻ってこなかった。笑いの毒に当てられたのなら、まだしも、退屈の毒では救いようがない。